概要サマリー
ビザレトログレッション(Visa Retrogression)とは、ビザの発行可否を決定するカットオフ日(優先日締切日)が前進せず、過去の日付に逆戻りする現象です。特定の申請区分や国籍において、議会が定めた年間配分数を超える申請需要が集中した場合に発生します。
なぜレトログレッションが発生するのか?
米国政府は毎年、10月1日を起点とする連邦会計年度ごとに、家族スポンサーおよび雇用ベースの移民ビザ枠を一定数割り当てています。これらの配分枠は四半期ごとに分散管理されています。
米国移民局(USCIS)や在外公館が審査をハイペースで進めた結果、特定の区分で年間上限に達する恐れが生じた場合、国務省は法定上限の超過を防ぐため、ビザ公報のカットオフ日を意図的に**後退(レトログレス)**させます。後退の幅は数ヶ月の場合もあれば、急激な需要超過により数年間一気に後退したり、一時的に**利用不可(Unavailable / U)**となることもあります。
優先日が後退した場合の影響は?
レトログレッションの影響は、申請者が現在どの手続き段階にあるかによって大きく異なります:
- まだForm I-485(ステータス変更申請)を提出していない場合: 申請書一式を提出する前にカットオフ日が優先日より過去に戻ってしまった場合、申請を提出する資格を一時的に失います。日付が再び優先日を追い抜くまで待機する必要があります。
- すでにForm I-485を提出済みの場合: 優先日が有効(Current)な期間中に正式受理されていれば、その後レトログレッションが発生しても申請は無効になりません。移民局側で最終承認手続きが一時保留(Abeyance)状態となります。この間も合法的な滞在資格は保護され、EAD就労許可証やアドバンス・パロール(事前渡航認証)の更新を継続して行うことが可能です。
- 在外公館での領事手続き(Consular Processing)を行っている場合: 国立ビザセンター(NVC)による大使館面接の予約設定が一時停止されます。すでに面接を終えている場合も、ビザ番号が再度割り当て可能になるまで最終発行が保留されます。
申請者がとるべき対策
優先日が後退した場合、担当弁護士と密に連絡を取りながら以下の実務的措置を講じてください:
- EADおよび渡航認証の期日管理と早期更新: 就労や渡航の許可に空白期間が生じないよう、有効期限が切れる少なくとも180日前には更新申請を行ってください。
- 移民健診書(Form I-693)の迅速な提出: 移民局から追加証拠提出要求(RFE)があった場合は迅速に提出し、優先日が回復した瞬間に即座に承認が下りるよう案件を完備させておきます。
- 毎月のビザ公報の継続的モニタリング: 新しい連邦会計年度が始まる10月1日には新規ビザ枠が投入されるため、大幅な前進が見られるケースが多くあります。